歯のはなし190
動物の歯 ライオン編(日本歯科医師会発行「歯の学校 #69」より)
人間と動物は同じ生き物ですが歯は全然違います
形や数、大きさなど種によってさまざまです
自然界で生きているいきものは人間以上に歯がとても大切です
それは命に関わるからです
しかし、人間のように歯磨きやうがいはできません
ケアをしなくてどうやって健康を維持しているのでしょう?
今回はライオンについて紹介します
ライオンはネコ科の肉食動物で
ウサギなどの小動物からシマウマやヌーといった大型哺乳類まで食べるライオンは
生後間も無く歯が生え始め、3ヶ月後には早くも肉を食べるようになるそうです
そして生後8ヶ月頃には約30本の立派な永久歯が揃います
(Ian LindsayによるPixabayからの画像)
ライオンの歯で特徴的な歯といえば鋭い犬歯です
4本の犬歯は牙として発達しており、攻撃や防御の武器になったり獲物を捕獲するのに欠かせない歯です
あまり知られていないかもしれませんが奥歯の臼歯も肉食ならではの歯になっています
「裂肉歯(れつにくし)」と呼ばれる歯で、大きく先が尖った形状になっており、
読んで字の如く硬い肉を剪断したり骨の粉砕もできる歯です
野生の場合、この裂肉歯を失うと飢餓で死んでしまうこともある
ライオンにとっては生死にかかわるたいへん大事な歯です
そんな立派な歯をたくさんもっているライオンですが、
食べる時は咀嚼せずに噛みちぎって丸のみします
人間はしっかり咀嚼することで満腹度上がります
ライオンも人間と同じように咀嚼して食べれば少ない量でもおなかいっぱいになれるのになぁ、と思うかもしれませんがライオンの顎の関節は上下方向にしか動きません
これは一度かみついた獲物を逃さないためです
同じ哺乳類でも生きていくうえで進化したり、退化したりさまざまですね
ネコが好きな方は舌がザラザラしていることはご存知かもしれませんが
同じネコ科のライオンの舌も凹凸が並びザラザラしています
これは食事をする時に獲物の骨に残った肉を削ぎ落とすのに役に立ちます
また、毛繕いする時にもブラシのような役割をします
さいきんは新型コロナウイルスの影響で
動物園や水族館などさまざまなレジャー施設が閉園しているため
動物を間近で見ることはないかもしれませんが
さまざまなSNSで飼育員さんたちが動画や写真を載せてくれていますので
歯に注目してみるのもおもしろいかもしれませんね