歯のはなし158
歯周病菌について
歯周病の菌は何種類かあります。
その中でも病原性の高い菌や低い菌はさまざまですが
一番強い菌とされているのが「レッドコンプレックス」と言われている3種類の菌です。
歯周病の菌はピラミッド型に3層で分けられます。
(日本歯科医師会雑誌 2019 Vol.72 NO.2 「バイオフィルムを管理する予防歯科」天野敦雄先生
P11より引用しました)
ピラミッドの一番上が病原性の強い菌、「レッドコンプレックス」です。
真ん中の層は病原性の弱い菌で、一番下の層は常在菌と歯周病菌協力菌と呼ばれるものです。
幼少期から口腔内環境が悪いと歯周病菌のピラミッドのベースとなる
最下層の菌にとっては好環境のため長い年月をかけて定着していきます。
最下層の菌が定着することで、中層の低病原性の歯周病菌、
最上層の高病原性の歯周病菌と、より強い菌が構築されていき歯周病のリスクがかなり高くなります。
一方で一番下の層の菌が乏しい人、つまり幼少期から口腔内の環境が悪くなければ
菌が定着できないため、ピラミッド型の上の層を構築できないため歯周病のリスクは下がります。
(定着できないだけで菌そのものがいないわけではありません)
ピラミッドの一番下や真ん中の比較的弱い菌が定着していないのに
最上層の強い菌だけを持つことはありません。
長い年月の間で細菌叢が出来上がっているのです。
虫歯菌(ミュータンスレンサ球菌)は赤ちゃんの歯が生え始めてた時から定着していくのですが、
歯周病の最も強い菌はすぐにはつかず6~18歳以降に定着しだすのです。
「自分はまだ大丈夫」と油断していると気づいた時には歯周病になっていることがほとんどです。
今回はすこしむずかしいはなしでしたね。
歯周病は乳歯、永久歯に関わらず小さいころからの口腔内環境も影響します。
将来的なことを考えてご自分の歯と向き合ってみましょう